掃除で遅くなって部室に駆け込んだが、
とっくに練習が始まってる時間なのに、全員着替え中だった。
「けきょっ……けっきょ……きょっ」
「おもしれー音だなぁ」
「田島、笑ってないで、どうやったら止まるかお前も考えろっつの」
花井が1.5lのペットボトルの口を三橋の口に押し付けて飲ませている、
飲んでる端からしゃっくりが出て、半ば溺れるようになってしまっているが、
懸命になってる花井は気付いて居ないようだ。
どうやら、三橋のしゃっくりを止めようと試行錯誤していたようだ。
しゃっくりが止まらないからと言って、練習をしない訳にはいかない。
皆、三橋のしゃっくりは気の毒だと思いつつ、
その奇妙な鳴き声についつい噴き出してしまう。
三橋は腹をタポンタポン音させながら、アップして投球練習に入った。
大丈夫なのか? と俺は思いつつもミットを構えてしゃがんだ。
三橋の手からボールが離れる瞬間「けきょっ」とまたしゃっくりが出た。
ボールの速度がグングン伸びて俺のミットに収まる。
なんだ? なんだこの豪速球!
皆の者出会え出会えぃ
スピードガン持ってこい。
俺は原作1巻のキラキラした目でマウンドに駆けよった。