俺ら「三橋のサゲマン効果発動」

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572スタンダードおもらし・4
※エロ無し

擦られる布地に細かい皺が刻まれる。
俺の三日着通したのコットンパンツを前方へ絞り、谷間を越えて青いジャージに斜めの線が繋がってゆく。
気づけば、上下に動く彼の両足の動きにはふるえが混じっている。
細やかな振動はピリピリとして電気信号じみており、なにやら今にも発火しそうな危機感を伝えてくる。
がまんしてんのか。
薄目でヒヨコ頭の横顔を見ると、生まれつきかだらしくなく下がった口の端がぴくりぴくりと痙攣している。
その「ぴくりぴくり」は丁度、彼の足と連動していて、たまに大きな揺れが来るときゅうっと一文字に締まるのだった。
無意識の表情筋の動き。ぎりぎりっぽいじゃねえか。大丈夫か俺、ここの席で。
水害をひっかぶるのはごめんだったが、この疲れ切った体で残りの道程を乗り切れる自信も根性もない。
なるようになるさ、とまた目蓋を閉じた。
いざとなっても横っ尻に冷たいものを感じて飛び起きりゃ十二分に間に合うだろう、
そのくらいの余裕はあんべえ、たぶん。

「だっからさぁあー! 三橋だってあの親父に比べたら、モモカンのスバルタなんてさってー」
「田島、スパだからスパ」
「思うだろ?!」

眠い。眠いだけにこの嫌がらせじみた大音声には殺気を覚えずにはおれん。死ね、田島。
三橋くんとやらが、いったん腰を浮かせて座り直した気配があった。

「おっおっおっ!! ギプス!」
「……よくわかんないよ」
「三橋!」

唾が顔に当たったので反射的に目を開いてしまう。

「ギップス!!」

田島少年は腕を直角にして、ゴリラの物まねをしてみせる。
それを見て、三橋くんはへらっと笑った。