阿部「三橋の穴はよく客食う穴だ」

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689コタツ栄口
「さ、寒いぃ、手、の感覚、が、ない、よ」
「おかえり、三橋」
「た、ただいま、栄口、君…」
「ほら、早く、俺の中、入りなよ」
「う、うん」
栄口君は、オレの家のコタツをやっている人だ。
もう長い付き合いだ。
「ふひっ、あったかい。栄口君は、い、いつ、も、あったかい、ね」
「そりゃぁ、コタツだからねぇ」
栄口君は、当然だろ、て顔で笑った。
「ふひっ」
釣られて、オレも笑う。
いつも通りの反応が嬉しい。
「さ、栄口、く、ん、いつも、オレのこと、暖めてくれて、ありがとう、…ご、ございます」
感謝の気持ちを伝えたくて言ってみたけど、改まって、そんなこと言うと、やっぱり恥ずかしい。
栄口君は、キョトンとした顔をして、こっちを見てる。
やっぱり、変だったかな。
何か言わなきゃって、俯いてたら、栄口君の声が聞こえた。
「ありがとう、三橋」
ネガティブな想像をしていたから、好意的な反応が返って来て、安心した。
「へ、変な奴、か、な」
「そんなことないよ。日頃、感謝してるって、口に出して言って貰えるとやっぱり、嬉しいし。三橋の心遣いで、俺の心も暖かくなるよ」
「ふ、ふひっ」
「ありがとうな、三橋」