>>70 ききみみ頭巾は話がわからなかったので、マッチ売りでいかせてもらう
『マッチ売りの少年』
おやすみのじかんだね。
おっさんがごほんをよんであげるよ。
おおみそかの夜、ひとりの少年が、マッチをうっていました。
いてつくような風、あしもとにはつもった雪、こごえそうにさむい夜です。
なのにまずしい少年は、コートもきることができず、ふるえながらマッチをうっていました。
かえりたくてたまりませんでしたが、このマッチをうりきらないと、おやかたにおこられるのです。
性的な意味で。
『ま、マッチ、マッチは、いりま、せんか…』
少年のちいさな声は、としのせのあわただしい空気に、かき消されてしまうばかり。
マッチはぜんぜん、うれません。
そのうちに夜はふけ、さむさはいっそうきびしくなりました。
少年は、すこしでもあたたまりたくて、うりものとは知りながら、マッチに手をだしました。
>>197 ぽっと、ちいさく、あたたかな火がともります。
しかし、これだけでは、なんのやくにもたちません。
なんとなく、ほのおのむこうに、ごちそうがみえたきもしました。
しかし、もとはゆうふくな少年は、それがごちそうだと、おもえませんでした。
それでも、たべものだとおもうだけで、食いいじのはった少年は、よだれがでました。
なみだもでました。
そのときです、ちいさな明かりにみちびかれたのか、なんにんかのひとかげが、あらわれたのです。
『ひ、ひひひ。ひあそび、してるの、かなー』
『た、たいちょう!わるいこには、おしおきがひつようかと、おもわれます!』
『かわいいねえ。はんずぼん、かわいいねえ、しょたまんせー』
『ど、どなた、ですか…!』
ひとりは、きもちわるいほど太っており、おおきなカメラをもっています。
ひとりは、うつろな目をしており、めいさいしょくの、服をきています。
ひとりは、がりがりにやせて、えっちな女の子のかかれたかみぶくろを、もっています。
ことしの、ふゆこみ3日目は、おおみそか!
なきそうになりながらも、少年は、ふるえる声で、いいました。
『ま、マッチ、かってくだ、さい』
『マッチ!マッチをかえともうすか!な、なんていやらしい、子だっ』
『いくらでも、かってやるべきだと、おもわれます!』
『かってあげるから、おにいさんと、いいところにいこうか』