俺はペットに操られているのだろうか
風呂から上がり、湯冷めしないようにコタツに入る。するとコイツの足が当たった。
「痛っ」
コイツの爪が俺の脛に食い込んで少し血が滲んでしまっている。俺は薬箱から爪切りを探し、コイツの足首を掴んでその辺の雑誌を広げて置かせた。
パチン、パチンといい音がする。そういえば家に来てから一回も切ってなかったな。鶏みたいな爪になって、よく今まで割れなかったな。
そう思いながら右足が終わり、左足を寄せる。親指、人差し指、中指・・・
「いっ」
深爪をしてしまった。血がじわじわと滲んで掴んでる足首はぷるぷる震えている。残りの爪の三分の一はまだ切られていない。
俺はためらう事なく口に含み、涎で指を包む。少し蒸れた匂いがする。
伸ばしすぎた足の爪は固く、中々噛み切れない。端からパキン、パキンと小さいが音がする位強く齧る。
「いたっ」
言いきらない内に残りをそのままで歯で引きちぎり、血が出ている所を舐め回すし、ゆっくりと指の股に舌を這わす。
口から離すと、すでに血は止まっていた。コイツの顔を見ると、少し怯えた顔をしていたが、耳が真っ赤だ。
残りの爪は少し気をつけて爪切りで切った。人の爪を切るのは少し神経がいるのか。一仕事終えて雑誌に落ちた爪をゴミ箱へ捨てると
「て、て も・・」
差し出された指先を見ると、ちょっと黒い汚れが溜まってる爪が目に入った。
俺は思い出したように口の中に含んだままの爪を甘噛みする。よっちゃんイカのような食感は、癖になる。
手の爪はどれ位の固さなのだろうか。