保管無し 穴埋め用に書いてたけどもう埋まってた
かそですぬ許さない
物は何十年も使うと魂が宿るとか言う迷信が会ったような気がする。
オレが赤ん坊の時から枕元に置いている猫のぬいぐるみもかなり年季が入ったものだった。
洗濯しても落ちない汚れが染みになっていて正直ぼろいし汚い。
それでもなぜか妙に気に入っていて、捨てる気にはならなかった。
中学生男子の部屋に猫のぬいぐるみはさすがにまずいので
友達が来る時はクローゼットの奥に押し込んでいる。
それ以外は枕元がこいつの定位置。たまに悲しいことがあったりすると
抱きしめて一緒に寝る。いいんだ、誰も見てないんだから。
好きな子ができた時はキスの練習代にしたりした。
いいんだ、若気の至りで済む年齢だから。
で、今日の試合で負けたオレは今夜はこいつを抱きしめて眠ろうと決めていた。
あ゛あ゛あ゛ぐやじいよおお゛お゛お゛電気を消した部屋で
猫のぬいぐるみをぎゅうぎゅう抱きしめて泣く。
密着したぬいぐるみの繊維に染み込む涙。汚れちゃうなと思ったけど洗えばいいや。
今はただ行き場のない悔しさをこいつに溶かしてほしかった。
翌朝目が覚めると裸の少年が隣で寝てた。薄い茶色の髪の間からは
ふわふわの毛の生えた猫の耳が生えていてぴくぴくと動いていた。
茶色シーツをめくるとぷりんぷりんのケツからしっぽが生えていた。
なんじゃこりゃあああと20秒くらい驚いたけど、これはオレの愛用のぬいぐるみだと
即悟った。オレはスポーツも好きだがアニメや漫画も大好きだ。
待ってたよリューク…じゃないけど待ってたよ猫耳。死神は無理だけどこれなら
愛せそうだ。チンポついてるけど。
シーツをめくったままだったので白い体がぶるっと震えた。
眉をしかめて色素の薄いまつげが震えた。
ゆっくり開かれた大きな目がニ三度瞬きをした後オレをまっすぐに見つめた。
おしまい