阿部「パキッ」

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984fusianasan
>>880が難しすぎていまだ話の内容すら考えていないので先にこっちを書く。880は次スレで!すまん
その前にお前ら流れ早すぎるよ!!

>>883>>885
「なんか、腹減ったな……」
三橋に勉強を教えるため、家にお邪魔していたオレは、一息ついた頃にそう零した。
うーんと伸びをして、テーブルの横のビニール袋に視線をやる。へたり、と床に横たわっている袋は、今更確かめなくてもごみしか入っていない。
ここに来る前に、菓子やらパンやらをコンビニで少し買い込んだのだが、育ち盛りの高校生二人を賄うには、あまりにも量が少なかった。まあ、最初から予算も限られているしな。球児は年中無休で金欠だ。
「あ、あべ、くんっ!」
横から突然甲高い声で呼ばれる。
ようやく終わった数学の宿題に精も根も尽き果てたのか、テーブルの上につっぷしていた三橋が、顔を上げてオレを見つめていた。なんだと顎で促すと、三橋はぴょこんと居住まいを正す。
なぜか正座になって身体を乗り出して、オレに言った。
「阿部君っ、ホットケーキ……好き?」
ホット、ケーキ、だあ?
突然なんだ? 俺は深く考えずに答える。
「うーん、あんま、甘いものは好きじゃねぇんだよ、なあ」
「そ、そっか……」
三橋がしょんぼり頭を垂れたのを見て、オレはもしかして、と気付いた。
もしかして、三橋のおばさんがなんか、オレらのために用意してくれてたのか? その、ホットケーキとか。
げ、それじゃあオレ、わざわざ用意してくれてたものをイラナイとか言っちゃったわけ? こりゃまずいな。
「あー、三橋?」
「じゃ、じゃあっ、クレープ、はっ?」
オレが、なんでもいいよ気にすんな、って口を開く前に、三橋が遮った。
く、クレープ? 女子高生の口からしか聞いたことの無いような単語に、オレの眉が無意識に寄る。三橋はなにを勘違いしたのか、やたらテンパりながら続けた。
「ちっ、ちがくて! あ、甘く、ないよっ! は、ハムとか、チーズ入ってる、甘くない、の!」
クレープっつったら、クリームとか果物がブチこまれた、クソ甘い菓子というイメージしかない。
でも考えてみりゃあ、クレープの外側の皮は薄いパンというか、スポンジみたいなもんだしな。野菜とか肉を入れたら、一風変わった薄っぺらいホットサンドみたいになるかもしんね。
「あ、それいいな。うまそう」
「ほ、ほんとっ! じゃ、じゃあ」
そして三橋は驚くべきことを言い出した。
「お、オレ、作る、よ! キッチン、いこ!」