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http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1202659980/971 また長い。しかも今回はエロじゃない。すまん!
部活の途中の休み時間、三橋がグラウンドの端っこの方にうずくまっていた。
なにやってんだ?
気になったオレは、三橋に近付いた。
遠目に見た感じ、顔色もいいし、どこかを押さえているわけでもない。
別に具合が悪いとか、怪我をしたとか、そういう理由で座り込んでいるわけではないようだ。
三橋は身体を小さくして、ある一点をじっと見ていた。
その視線の先にいるのは、これまたうずくまっているアイちゃんだった。
「……お前、なにしてんの?」
「あ、阿部君っ」
三橋はオレを見てビックリしたような声を出し、その大きさに自分で驚いたのか、慌てて口元を押さえた。
静かにしたほうがいい、ってことなのか?
三橋の顔を覗き込むために中腰になっているのもダルいので、オレも隣に座った。
まあ、三橋みたいに小動物丸出しでうずくまったりはしないが。
「なにしてんだ?」
オレ的には精一杯気を使ったつもりで、できるだけ声を落として聞いた。
どうもそれが良かったらしい。いつもなら考えられないくらいリラックスした様子で、三橋がオレに答えてくれた。
「あっ、あのねっ、アイちゃんが……」
「うん?」
「な、なにか、がんばって、る、んだ」
がんばってる? アイちゃんが? なにを? そちらに視線を飛ばす。
5メートルほど先にいるアイちゃんは、四つんばいになって、その可愛らしい茶色の身体をプルプル揺らしていた。
どこをどう見ても、きばっていた。
「あっ」
そして、ぷりっとウンコした。
なぜか三橋が、感動したような声を上げる。
「阿部君! うんち、したねっ、阿部君!」
「……ああ、そうだな」
他にオレにどう答えろと。
というか、その言葉だけ聞くと、オレがウンコしたみたいじゃねえ?
(wiki管俺へ。スレからスレへの移動は、改行しないでください)
>>21 まだ続く
「ウンコくらい犬だってするだろ」
「そ、そうか! ウンチがしたくて、ずーっと、アイちゃんはがんばってたん、だっ」
「……なあ、三橋」
はいなんですか? となぜか敬語を使ってくる三橋にオレは言う。
「ウンコ、って言ってみろ」
「う、うんち?」
「ウンコ」
「う、うんちは、うんち、です、よー」
どういうこだわりだ。
突如オレは、どうしても三橋にウンコと言わせたくなった。
だって、ウンチだぜウンチ。ウンコだろ普通はウンコ。
というか、三橋がウンチだなんて、あまりにもキャラにそぐっていて、なんだかむかつかねえか!
それからオレはことあるごとに「三橋、ウンコって言ってみろ」と繰り返した。
三橋は頑なに自分のスタンスを崩さず、どんなタイミングで聞いても必ず「阿部君、ウンチです」と答えた。
しばらくそのやり取りを、オレたちは繰り返した。
部活だろうと、休み時間であろうと、昼休みであろうと、廊下ですれ違っただけであろうと、繰り返した。
そのうち端で聞いていた花井が頭を抱え、栄口が腹を押さえ、クソ谷が半泣きになり、巣山に目を逸らされ、沖に顔を青くされ、西谷に気の毒そうな目で見られて、やっとオレは不意打ちのウンコ攻撃を諦めた。
三橋はくずれない。
さすが、三橋だ。コイツは本当に、自分がこれぞと決めたことには頑固ったらありゃしねえ。
オレのウンコ攻撃が止んだと思ったのか、三橋は少し嬉しそうだった。田島と泉に向かって、似合わないサムズアップしてやがった。
田島と泉はオレをニヤーと見て、三橋とワーワーキャッキャ抱き合って喜んでいた。
なんだかわからないが、オレはむかついた。眉間に皺が寄って寄って渓谷が出来そうだった。
しかし、内心では笑っていた。
相手は油断しきっている。馬鹿め、誰が諦めたなどと一言でも言った。
これで終わりだと思うなよ、三橋!