>>111 あるところに隙間風吹く貧乏アパート住まいの飽き性で早漏の男がいました。
男が寒さに震えながらキーボードに向かっていると、視界の端をちょろちょろと
何か小さな物体が走り抜けていきます。
つい反射的に手を伸ばしてそれを捕まえると、手の中でぢゅーぢゅーと泣き喚きました。
捕まえたのは人の顔をしたねずみでした。
ふさふさと言えばいいのかぼさぼさと言えばいいのか、
茶色の柔らかそうな髪の毛を生やしたねずみは手の中でふるふると震えています。
ねずみの手の中にはクリーム色の固まりがしっかりと握られていました。
よくよく見てみると、それは男の貴重な食料、ロリーメイトフルーツ味の残りでした。
「お、お前、それ俺の朝メシ!」
ロリーメイト1/2本が朝ご飯とは大した貧乏です。
「ご、ごめ なさ…。俺も おなか すいて て」
なんと言うことでしょう、手の中のねずみは言葉を話すではありませんか。
「俺が貧乏なのは知ってんだろ! なんでわざわざ俺のメシ盗るんだよ!」
数少ない食料を盗まれた男は頭に血が上ったのか、ねずみが喋っていることを不思議に思いません。
狂気すら感じられる男の言葉にねずみはただ頭を抱えて
やっぱ寒いから終了