http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1201356513/353 「あの…トイレ、どこですか?」
突然見知らぬ男からかけられた言葉。
―それが、始まりだった。
「あ、あの、多分あちらの 突き当り…を」
「…ふ」
ぐにゃりと歪んだその顔に気を取られ、物影に隠れていた男たちが飛びかかってくるのに気づかなかった。
振り返る間もなく複数の男たちに手首と足と頭を掴まれ、麻のような布きれで口を塞がれる。
「っ…ぐっ!?」
試合のことで頭がいっぱいだったオレには、これからどんな恐ろしいことが始まるかなんて想像もつかなかった。
◇
「だれ か たすけて」
乾いた喉から絞り出したような自分の声で目が覚める。握りしめた布に汗が滲んで気持ち悪い。
(…布?)
ハッとしてその拳の先を見ると、心配そうな顔で阿部君がこちらを眺めていた。
「ごっ ごめ…さ オレ…」
「ずっとうなされてたけど大丈夫か?」
「ん…あ あの、オレ…どのくらい 寝て?」
「ああ、2時間くらいかな。オレの服掴んだまま寝ちまうから…」
「ご ご ごめ…」
「まぁいいけど、じゃあオレ帰るから」
「阿部く…」
「何?」
「…行か ないで」