《い、今から お昼の放送を、始め ます》
六月半ば。三泊四日の修学旅行。まさかとは思うがこのイベントに狼狽えた集団が一つだけあった。放送部だ。
《球技大会の 映像が流れますので、そのままで…お待ちください》
事の始まりは…いや、部員四人のうち三人が三年だった、というところからこれは始まっていたというべきか、
ともかく過ぎ去りし四月。
彼ら放送部員の必死の勧誘活動の成果は、たった一人の新入生だけだった。
「おい、阿部。あれ野球部の三橋だろ。お前寝てないでちゃんと見てやれよな!」
「あー…、見るよ?」
さて、この四日間をどう乗り切るか?
ということで、唯一の新入生でありうちの部との掛け持ちをしている中村からオレ達は相談を受けた。
物好きな水谷や割とノリのいい巣山はすぐに食いついた。
それと後輩の頼みを放っておけない沖と栄口。
…それに、何故か三橋だった。
あの、流されやすく見えて変に自分の譲れないところがあって、それだけはしっかり掴んで放さない、あの三橋
が。
《<ガタガタ…ッ>―っ…――ひぁんっ―ぁふぅ―――ん!!》
放送事故だろうか?
あいつら何やってんだ。
後ろのほうからざわめきが聞こえた。
教卓の斜め上に設置されたテレビに映るのは機材の一部らしい黒いものと、あの部屋独特の趣味の悪い焦げ黄土
色の絨毯だった。
《あっ、あっ、ぁんっ、あっあ゛あ゛んっ!!》
いきなりの大音量。
カメラが切り替わる。
同時に学校中が静まる。
《―あ゛あ゛っっ!!やめてっ!!おちんちん映さないでぇえええええええええええ!!!!》
涎を垂らし、鼻の穴を広げた三橋の顔と勃起したチンコは全校ネットで流れた。
それは、“おちんちん”と呼ぶには余りにおぞましいシロモノでした。
純粋な女の子は食事中にあんなモノ見たら気を失っちゃうんじゃないかな。
西浦高校1年 S.A君 談