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これは夢なんじゃないか、レンは本当はこんなことしてないんじゃないか、
夢だとしたら子供ながらに悪質だ、いや「だとしたら」じゃなくてきっと夢だ。
悪夢を見た。申し訳ないけど、現実のレンには言わないでおこう。
彼がヤることの意味を知らないとしても、自分がそんなことをした夢を見られたなんて知ったら傷付けてしまうから。
この夢は封じ込めておくんだ、俺の中だけに。
夢から醒めたらレンと遊ぼう。今日会えるかわかんないけど。
もっともっといっぱい話しよう。テレビの話も、野球の話も。
……あれ?どこから夢なんだっけ……?
俺は現実だろうが夢だろうが、もうどっちでも良かったのかも知れない。
この場をやり過ごしたら、後は忘れればいいんだ。今日あったことをなかったことにして。
レンとまた普通に話せるならそれでいい。
レンは野球が好きな普通の小学生だ。ちょっと挙動不審気味だけど、表情豊かな奴。
今まで通りに接すればいいんだよ。
もしレンが男とどこかに消えると、その人達と野球してるってことだ。何も気にすることはない。
ドアの閉じた風呂場から、わずかに高い声だけが断続的に聞こえる。
再び始まった甘い喘ぎ。俺はただ聞くことしかできない。
次第に大きくなっていった声は、やがて
「き、気持ちいいっ、いぃ……んんっいっちゃうーっ!!」
という言葉と共に収まり、耳の奥を揺らした。