三橋「キューサイのー」

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851みをつくし
(平安パラレル注意)  前回まではwikiでよろ
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<人物一覧> 
・三橋→少納言(現・中納言)家の息子。性別を偽り更衣として入内。女御らにいじめられ何者かに強姦されている。
・西広→今上帝。賢帝だが、後宮の女御たちの覇権争いに辟易している。
・栄口→廉の乳母兄弟で世話係。  ・沖→和歌や手習いで噂に名高い廉の教師。
・田島→今をときめく出世株の一人で近衛中将。武に長ける。武より文や和を重んじる帝の方針に不満がある。
・阿部→今をときめく出世株の一人で宰相中将。文に長ける。梨壷の女御を娶ろうとしていた過去あり。
・泉→梨壷の女御の兄で今は皇籍を離れて源氏姓を名乗っている。
・水谷→右大臣家の嫡男で弘徽殿の女御の実弟。色恋にふしだらである。 現在は写経中。
・巣山→桐壷(廉)付きの衛士。   ・花井→徳の高い僧。
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政務を終えた西広の帝が桐壷へ使者を向かわせると、後宮は俄かにざわめきたった。
廉が入内してからは特に、女御らは互いを牽制しあうかの様に険悪な雰囲気が増し、
寝所へのお召しはおろか昼の渡りでさえ稀になっていた。
そこへきて、西広の帝が久々に渡る先は桐壷の更衣の元だということで、泉の源氏は
女御三者から同時に呼び立てられ、日に三回も同じような台詞でなだめて回る羽目をみてしまう。
「泉の君も気苦労が絶えなそうですね。俺には厳密に務まらない自信がありますよ。」
流石にこれ以上同じことの繰り返しはご免被りたいと、後宮から逃げるように蔵人所に戻ると
居合わせた田島中将が慰めとも呆れともとれるような表情で声をかけた。