Tama「Get out!」

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228みをつくし
前回まではwikiでよろ
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<人物一覧> 
・三橋→少納言家の息子。性別を偽り更衣として入内。女御らにいじめられている。
・西広→今上帝。賢帝だが、後宮の女御たちの覇権争いに辟易している。
・栄口→廉の乳母兄弟で世話係。  ・沖→和歌や手習いで噂に名高い廉の教師。
・田島→今をときめく出世株の一人で近衛中将。武に長ける。武より文を重んじる帝の方針に不満がある。
・阿部→今をときめく出世株の一人で宰相中将。文に長ける。梨壷の女御を娶ろうとしていた過去あり。
・泉→梨壷の女御の兄で今は皇籍を離れて源氏姓を名乗っている。
・水谷→右大臣家の嫡男で弘徽殿の女御の実弟。色恋にふしだらである。
・巣山→桐壷(廉)付きの衛士。   ・花井→徳の高い僧。
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その頃、廉の周囲では特筆すべき二つの大きな異変があった。
まず一つ目は春の除目(定期人事)において、父である少納言が帝の宣旨によって中納言に進んだことである。
五位少納言から、四位職を飛ばしての中納言就任は彼の家柄からかんがみても異例中の異例で、
後宮政治に乗り出している者たちからは、よもや寵愛を独占しているという廉姫の後ろ盾を確固としたものに
する為なのではと囁かれた。
それに伴い、廉への風当たりは今まで以上に厳しいものとなり、多岐に渡るいやがらせは日常茶飯事の様に
行われ始めた。

もう一つは、ある朝桐壷に投げ込まれていた差出人不明の文。
身元の確かな使者から箱に入れて持ち込まれた正式なものからはほど遠く、花も葉もない枯れ枝に
和歌が一首結び付けられているだけという様は、その内容も不気味なものであった。