*次回はこの話的に入れる必要は無いエロ展開そして
翌日 三橋は学校を仮病で休んだ。
花井との事が忘れられなくて、何も考えないでいいように、とにかく寝た。
それでも部活には出たかったので午後にはそそくさと学校へやってきた。
授業を終えた田島は一足早く部室で着替える三橋を見て驚いたが、心配しつつも喜んでいた。
学食での件も有り阿部は三橋の不摂生(と思っている)を怒鳴る事なく気遣ってくれた。
圧倒的な力差で男に押し倒されてショックで寝込んでいたなんて、言えやしない。
嘘をついているのが後ろめたかったが、皆の優しさが嬉しかったので来て良かったと思った。
ウキウキと変なスキップでグラウンドに出た三橋の足が、花井の姿を捉えた途端に竦む。
急に止まった三橋に合わせる事が出来なかった田島がそのまま『先にいくよー』と走って行ってしまった。
「ま、って!たじ…っ」
「三橋、今日具合悪くて休んだんだって?出てきて大丈夫か?」
バケツを持った花井が田島との間に自分の体を割り込ませて、三橋の視界から田島を隠してしまった。
「昨日はどーも。もし今日も怖いんだったらまた遊んでやるぜ。それともそれが目的だったりして」
よれよれと後退した三橋の背中は、グラウンドを囲む緑のフェンスにぶち当たってそれ以上逃げられなかった。
ただでさえ身長差のある二人。花井があごを上げると、まるで見下されてるみたいだ。
実際に見下されているのかもしれないが、とにかく他のチームメイトからは、今は花井の背中しか見えていないだろう。
「昨日は結局本題聞き忘れちまったな。まあいっか。要は一人でいたくねーんだろ?」
(そうだけど…)
三橋は花井と目を合わせずに横を向いた。
──花井君、怖い。オレ一人でいるのが怖い。話聞いてくれますか
それが昨日、花井に向けて打ったメールの内容だった。急いだから誤字はあったかもしれない。
花井に会ったら今朝からの出来事を全部聞いてもらおうと思っていた。
三橋を心配した花井は走ってきてくれたのか、約束の屋上に現れた時には少し息を乱していた。
しかし、満面の笑顔で花井を迎えて立ち上がった三橋を、花井はがむしゃらに冷たいアスファルトに押し戻した。
息が乱れていたのは別の理由だったのだろう。
自分の用が済むと、花井はすぐにいなくなってしまったのだった。
「じゃあ又後でな。くれぐれも阿部や田島なんかに言うんじゃねーぞ。言えるわけねえだろーケド」
花井はボールの入ったバケツを持って行ってしまった。
『別に 一人でも大丈夫だよ、きっと。昨日も朝も、何も、なかったし…』