※阿部視点ゲンミツに注意
―コツン
小石を二階の窓ガラスに投げる。
すぐに窓が開いて、ひょこっとアホ面が覗いた。
(降りてこい)
口パクで合図をすると、ブンブン頷いて首を引っ込めた。
閉まった窓の向こうで、ドタバタすげえ音がする。大丈夫か、アイツ。
しばらくして、玄関から大きめの鞄を下げた三橋が出てきた。フヒッと笑って駆け寄ってくる。わかってたけど、緊張感ねえ・・。
「おばさん、大丈夫だったか?」
「う ん!買い物、行ってくるって、言ってきた!」
「よし。じゃ、行くか」
人目がないのを確認して手を取ったとき、三橋がビクッて飛び上がった。
「お、オレ!忘れ物!」
取ってくる!と言って三橋は駆けて行った。
(先行き不安だぜ・・)
俺より少しだけ小さな後ろ姿を見て、俺はひとつ溜め息をついた。