シュン「30秒待ってろ」

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107fusianasan
 積み木は一つだって遊べるけれど、二つあったらより楽しめる。
 二つあったら重ねて遊べるけれど、四つあったら組み立てて遊べる。
 頑丈な家を作るも、美しい城壁を作るも自由。けれど、積み方を一度でも誤れば、それは脆くも崩れてしまう。
 積まなければ形にならない。
 積み上げても形になるとは限らない。

 それでも、少年は完成を目指すのだろう。
 幸せと呼ぶ、不完全の完成形を――……。




「落とさないようにこっちへおいで」
「ひっ……ぅ、は、はい」
 命令されればその通りに動くしか術はない。はじめから拒否の選択肢は用意されていない。
 少年の立場は、この空間に於いては地を這う蟻よりも低かった。奴隷として男に買われた時から、それは絶対の条件だ。
「はあ……ふ…ンン…」
 足を一歩前に出すだけで内股が震えた。元々は排出する場所に突き入れられた玩具が、小刻みに振動しながら腸壁を擽っているから。
「ッん、キモチ、わるい、よお…」
 異物感に耐え兼ね、少年の尾底骨から伸びた尾が臀部の割れ目をそわそわと行き来する。
 少年は全裸だった。
 しかし、それよりも先に視線が向かうのは人の耳に代わって生えた三角の獣耳。と、もうひとつ、長く、細身の尻尾。
 少年は人の身体をして、猫の特徴を持つ姿をしていた。それも、付け耳のようなまがいものではなく、本物の耳と尻尾である。
「ふ……っ、は…ぁ…」
――抜いて欲しい、早く楽にして欲しい……。
 そう語る眼差しを主人である、醜悪な容姿の男に向けるも、男は開いた口の間から黄色い歯と、グフグフとこもった笑いを漏らすのみ。
「れんにゃん、落っこどしたらお仕置きだけど、自分で抜いてもお仕置きだよ。ちゃんとわかってるよね?」
「は、は…い…ご主人、さま…」
「うん、いい子だ。じゃ、お仕置きしよっか」
「え……ッッッ、んうう!」