阿部「三橋の父親何センチ?」

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342S×M
「・・・なんだよ、てめぇ?」
突然の乱入者に榛名が振り返り、俺の顔を確認するとゆっくりと三橋の体内に入れていた指を引き抜いた。
「邪魔すんなら出てけよ。」
苛立ちを隠そうともせずむしろ全身から殺気を立たせて威嚇してくる。だが、シニア時代の経験から
例えそれがどんなに気に障る場面であれ、こいつは「殴りあうような」喧嘩はしない事を俺は知っていた。
もちろん腕の故障を恐れてなのだろうが、今この場面ではそれはこの上なく好都合だ。
拘束を解かれた三橋が、慌ててまくり上げられていた服の乱れを正している。
「どうもメイワクかけましたけど、そいつは俺が連れて帰りますんで。」
「はぁ!?てめぇには関係ないだろーが。」
確かに、いきなり押しかけてきた奴にレイプしてほしいなどと言われ、その気になった途端
これまたいきなり押しかけてきた奴に寸止め宣言を受けたら・・・俺なら間違いなくキれて殴りかかっている。
そう考えると投手の防衛本能とかいうレベルを超えて、案外賢いのかもしれないとも思った。
「他校の、下級生のしかも男を強姦したなんて騒ぎが広まったら、あんたのいう“プロ選手”ってーのから
 どれだけ道が遠ざかるかって話です。」
思い当たる先例でもあるのか、眉間をしかめて喚くのをやめた榛名を押しのけて、チェアの上でこのやりとりを呆然と
眺めていた三橋の手をとり出口へと促す。
諦めたようにため息をついて道を譲った榛名の声が、背中越しに響いた。
「おい、タカヤ。今度からもうちょっと早く入ってこいよな。」
・・・なんだ、最初から最後まで、格好悪いのは俺だけだったのか。情けねぇな。