三橋「このスレこそが真の変態の森なんだよ…」

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350fusianasan
それが花ならば
※パラレル・大河続き(前に否定してしまったが)
前回分wiki参照

「あの人…阿部っていうの?」
後ほどあの人物が気になって身元を調べ上げたところ、国御用達の行商である阿部家の長男坊であることが分かった。
三橋さんは目をまん丸にさせて、有名な一族の名に信じられないという顔をしている。
しかし、あの簪を贈れるほどの財力とこの事実、自然と納得がいく。
「そんな人が、どうして…」
俺なんかに?手の平の簪が揺らめく行灯の明かりによって、鈍い光を放つ。弱気な男娼は目を伏せ、オロオロと困り果てていた。
「中村くん…どうしよう…」
そんな縋る様な目で見られても俺は(男娼と貴族なんて身分違いだ)としか思っていない。誰だってそう思うに決まっている。
しかし俺は彼を傷つけるのを恐れて言えない。それは彼に思いを伝え拒否された場合と同等の恐怖だ。
「女と間違っているわけではないですもんね…」
「うん…いつもあの部屋では男の格好だし…」
「今度、あの人を連れてきます?」
「いい!だ、大丈夫!…こんな格好、見られたくない…」
ここに、住んでるから、もう、気づかれてるだろうけど…
内掛けを握るその手が微かに震えている。三橋さんはあの男に自身が毎夜していることを知られたくないのだろう。知られたらきっと幻滅されると。
あの男に好意を抱いているのだ、三橋さんは。
そう気付いたところで俺がどうにもこうにも行動を起すことが出来るわけでもなく、俺の初恋は終わりを告げようとしていた。

それからも三橋さんとあの男はあの不思議な関係を崩すことなく毎朝静かに見つめあっていた。
そして初夏の頃であった
あの2人の関係が近づいたのは