三橋「このスレこそが真の変態の森なんだよ…」

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112fusianasan
 384スレが間近い。
 三橋に何か贈ろうと、俺は考えた。
 祝いの場で渡すに越したことはないが、恐らくそうは行かないだろう。
 今なら手渡しができる。
 俺は、中村とビリーと三人で連れ立って、日本へ向かった。

 頑丈なケースの中で、一対のリングが綺羅を撒いていた。
 38.4ctダイアモンド・リングのペア。
 一つは無色透明のスタンダード・ダイヤ。、
 もう一つはカナリア・イエロー。これは三橋の髪になぞらえている。
 鑑定書は、世界的に権威のある機関が発行したものだ。
「小さな国が幾つか買えるな」
 鑑定の真似事をしながら、ビリーがいう。
「当初は384ctのダイヤにすると、仰ってましてね」
「ヒュー! マジかよ」
 中村の冷ややかな声に、ビリーがおどけてみせる。
 それには構わず、俺はリムジンの窓から外を眺めていた。
 三橋の手を取り、その指にリングを滑らせる場面を夢想しながら。

 三橋がその指輪を着けていたのは、ほんの少しの間だけで、
 直ぐに外して母親に預けてしまったという。
 母親が使うでもなく、二つの指輪は大切に仕舞われているという。
「アクセサリは陽の目を見てナンボだよなあ」
 土産にと大量に買い込んだ焼き饅頭を作りながら、ビリーがいう。
 ホテルの室内に、香ばしい匂いが充満する。
 俺は窓際に座り、新聞を広げて黙っている。
 中村が、そっと焼き饅頭の乗った皿を差し出してきた。
 一つ掴んで噛み締める。
 ミソの利いた素朴な味が口いっぱいに広がる。
「三橋の味がする」
 思わず呟くと、ビリーと中村がハッとしたようにこちらを見た。
 気まずさに耐えかねて、俺は新聞で顔を隠した。