>>76最初はこんなのを書いてた。
昔、群馬の都に、阿部父という貧乏な左官屋が住んでいました。
この阿部父には、おかみさんと、アベジンと呼ぶ息子とシュンシュンと呼ぶ息子がありました。
この左官屋は大変に心掛けのよい人で、一生懸命に働きました。
けれども、悲しいことには、アベジンが大の怠け者で、年がら年中、町へ行って、怠け者の子供たちと遊び暮らしていました。
何か仕事を覚えなければならない年頃になっても、そんなことはまっぴらだと言って撥ね付けますので、本当にこの子のことをどうしたらいいのか、両親も途方に暮れている有様でした。
それでも、お父さんの阿部父は、せめて左官屋にでもしようと思いました。
それである日、アベジンを仕事場へつれて入って、左官技術を教えようとしましたが、アベジンは、莫迦にして笑っているばかりでした。
そして、お父さんの油断を見すまして、いち早く逃げ出してしまいました。
お父さんとお母さんは、すぐに追っかけて出たのですけれど、アベジンの走り方があんまり早いので、もうどこへ行ったのか、皆目、姿は見えませんでした。
「ああ、わしには、この怠け者をどうすることもできないのか。」
阿部父は、嘆きました。
そして、間も無く、アベジンのことを心配のあまり、メタボリックをこじらせ、生活習慣病になって、死んでしまいました。
こうなると、アベジンのお母さんは、少しばかりあった左官に使う道具を売りはらって、それから後は、糸を紡いで暮しを立てていました。
アベジンは、それから石油王と名乗る中年の魔法使いに騙されて、地下で魔法のランプを手に入れました。
それを擦ると、煙が吹き出て、精霊が出てきました。
「こ、こんにちは!おっ、オレは、ランプの精のレンレン、だよ!
オレ、ダメセーだけど、頑張るよっ!」
確かにランプの精はダメダメなドジっ子でした。
けれど、アベジンは悪巧みを凝らすのが大好きでしたので、レンレンの魔法を最大限に生かすことができました。
それに、非情にアベジンの好みの外見でした。
企み以外にも夜毎に呼び出して、無体なお願いをしました。
純情なレンレンは毎夜、陵辱されては、乙女のようにシクシク泣くのでした。
石油王は必死で魔法のランプを奪おうとしましたが、アベジンの知恵の方が上でした。
それで、アベジンだけは末永く幸せに暮らしました。