三橋「さア何囘でも御相手爲すツて」

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27fusianasan
ミッドドナイトはきらめく星の夜、なんて悲しいクリスマス。
ハレルヤが流れ恋人たちが溢れ帰る街を逃げるように抜け出して俺は家路を急いだ。
シリアスぶってみたって俺の寂しさは埋まらない。
ぬくもりを求めたって一人暮らしの家にはお帰りを言ってくれる家族もおらず、
こないだのゴミの日に出しそびれた空き缶がごろごろと転がっているだけだ。
ぬるかんにすっかな。前の粗大ゴミの日に拾った電気ポットはまだまだ現役活動中だ。
これを捨てるなんて勿体ない!リサイクル精神に欠けている!!
にしても寒い。心も懐も寒い。
しばらく考えた末にコンビニで肉まんを買うのは諦めた。せちがらい世の中だよな、まったく。
ただただ長い家路を通り抜け玄関の扉を開くと、そこには三橋が転がっていた。
いつのまに忍び込んだんだコイツ!鍵閉めといたのに!

「おーい、みはしーぃ」
「か、帰って きた! おっ おかえりっ!」
「しらじらしくお帰り言ってんじゃねーよ! この不法侵入者がっ!」

たたきに座り込んでいた三橋を蹴り上げながら靴を脱いで部屋に上がる。
いやだぞ、このまま住み着かれたら嫌過ぎる! 俺の食費全部パーじゃねぇか!


あきた