阿倍「三橋、いいとこついてるか?」

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867約束
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「…ひぐっ…うっ…うっ…うぇっ……」
綺麗に後始末してやって、服も着せてやったのにいつまでもレンは泣きやまなかった。
終わった後はぼーっとしていたのに、俺が股間や尻を拭いてやっている間に泣き始めて、
それからずっとべそべそ泣き続けている。
「もう泣くなよ、そらこれやるから」
俺はコートのポケットに入っていた飴を取り出して、レンの手の上に乗せた。
それは、午前中訪問した家のおばちゃんがくれたものだった。
商品は買ってもらえなかったが。
「…?」
レンが泣き顔のまま不思議そうに手の上の飴を見つめた。
俺は包み紙を破って飴を出すと、「ほら、あーん」と言って口の中に放り込んでやった。
レンはまばたきして、口をもごもごさせる。
飴の効果があったのかわからないが、そのうちレンは泣きやんだ。
日は傾き、埃っぽい部屋の中に夕暮れの気配が忍び寄ってきていた。
俺はレンの手を引いて立ち上がらせると、部屋の外へと連れ出す。
「来週、金持ってこれるな?」
レンは泣きはらした真っ赤な目で俺を見て「…わかりません」と蚊の鳴くような声で答え
た。
誰が見ても泣いたとわかるに違いないこの目を見て、こいつの親はどう思うんだろう。
そういえば先週はずいぶん汚れたなりで帰したが、あれはどうやってごまかしたんだろう。
こいつが俺のことを何も知らないように、俺もこいつのことを何も知らない。
ただ、俺の鬱屈して行き場のない感情のはけ口にされ、理由もわからず怯えている無力な
子供。
もしレンが金をもって来ても、俺にはもう受け取る気がなかった。
こいつを来週もここに呼びつけるための言い訳みたいなものだ。
レンが伺うように俺を見た。帰りたいんだろう。
帰っていい、と言おうとして、レンが肩を気にしていたことを思い出した。
無言で右肩に触ると、レンはぎょっとしたように後ずさった。