※エロ無し注意・ピョア
教室に入ると、いつも教卓には向日葵があった。
花瓶に生けられた、綺麗な向日葵。
誰が持ってきたのだろう。
担任の先生じゃない。だって先生も向日葵を見て綺麗だなって感心してたし。
クラスメートも、知らないみたいだった。
じゃあ、誰が?
オレは気になった。
田島君は、大人しい眼鏡の女の子が怪しいって言ってた。
ハマちゃんは昔自殺した西浦の生徒が華道部でこのクラスの生徒だったとか言ってた。怖い。
でも、泉君に西浦に自殺者も華道部もねーよってツッコミ入れられてた。
なんだ、ハマちゃんの話ウソだったんだ。良かった。
あの向日葵は誰が持ってきたんだろう。
太陽みたいに鮮やかな、向日葵。
オレ、あの向日葵、好きだ。
向日葵を持ってきてくれた人に、お礼言いたい。
でも、そんなことしたら、たぶん気持ち悪がられる。
なら、誰か持ってきたくれたのかを見るだけなら、大丈夫だよね。
遠くから、教室の外から、その人を。
早朝は静かで、誰もいないから好きだ。
俺はそんな早朝に家を出る。
真夏の早朝はもう日も登り始めてて、気温もそこそこで心地いい。
俺ん家の庭には、夏になると向日葵が咲き乱れる。
母さんが向日葵好きで、家買った時にたくさん種を埋めたらしい。
俺は向日葵を何本か切って、学校に持っていく。
でも、そのことは誰にも知られたくはない。
恥ずかしいし、男が花を持ってきてるなんてキモすぎる。