阿部「もう独りにしない」

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戦時ネタ注意 エロなし
wiki忙しいのにありがとう


俺の右手をぎゅっと握りながら三橋はとうとう嗚咽を漏らしながら泣き出した。

「ごめん」
三橋がふるふる顔を横に振る。
守ると決めたのに泣かせてばっかりだな、俺は。
「ごめん三橋…」
鳴り止まないサイレンの音。まだ迫る危険の合図。
自分の体力に限界を感じた俺は三橋の右手を引いて言った。
「あそこの防空壕に隠れよう。そこまで連れていってくんねえ?」
「二人で?」
「ん?」
「二人で隠れる?」
まだ疑ってんのか不安そうに眉間にしわがよっている。
でも眉毛はいつもみたいに下がってる。
涙でぐしょぐしょにぬれた顔がなんだかおかしくてつい笑ってしまった。
「うん。ほら早く」
手を伸ばす。そしたら三橋は立ち上がって俺の腕をひっぱった。
「阿部くん、歩ける?オレ おんぶして、あげようか?」
いたずらっぽく笑ったこいつに少しムカついて左足に力を入れて三橋に並ぶ。
頭を弱めに小突いてやった。
「いたいよ阿部くん…」
「うっせ。バカにするからだろ。ほら、早く」


防空壕はほたるの墓にでてきた節子達が後半住んでた感じのを想像してくれ。
景色もそんな感じ。