三橋「AVに出たら野球できなくなっちゃう、よね?」

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778fusianasan
何をするでもなくボーっとテレビを眺め、やっぱり寺尾聰って渋くてカッコイイなぁ、などと呟き
手の中でぬるくなったミカンを口に放り込む。今年の紅白は赤組人数多すぎる。
ハロプロとAKBなんとやらで既にステージは飽和状態じゃないか。
三橋を見れば、こたつのテーブルの上にほっぺたを預け、というよりもべちゃぁと
ほっぺたが潰れだらしなく涎を垂らしている情けない寝姿で、おい、そろそろ起きろよ。と
声を掛ければ、ふんぁあぁ。と変な声を上げて顔を上げ、口に堪った涎をじゅるっと啜るように
飲み込むとキョロキョロと辺りを見回し、俺と目が合うとふひっと笑う。
テーブルの跡で赤くなったほっぺたが涎に濡れて光っている。
三橋、涎拭けと言うと、うおお、お、俺、口開けて寝てた。と慌てて袖口でゴシゴシ拭っている。
たぶん、今、こいつの袖口やほっぺたの匂いを嗅いだら犬っぽい匂いがするんだろうな、とか
思うけど、こいつさっき蕎麦食ったときも散々汁飛ばして食ってたからもっとしょっぱい匂いしそう。
じゃあそろそろ行くかと立ち上がりダウンジャケットに袖を通す。
三橋、出かける前にションベンしとけよ。と言ってから俺は何幼稚園児相手みたいな注意してるんだと
少しばかり過保護かと自分にあきれたが、人混みの中でいきなり俺君、お、おしっこ…などと
言われても困るし三橋なら言いかねない。便所を済ませた三橋の首にマフラーを巻いてやり
アパートを出る。冷えた夜空にオリオン座が輝いている。俺君、冬の大三角形ってどの星?と
聞く三橋にアレがベテルギウス、こっちがプロキオン、そしてあれがシリウスだと教え、
今度プラネタリウムに連れて行ってやるよと言うと、俺、暗いところだと寝ちゃうかも。などと言う。
じゃあどこがいいだろう。どこでもいい。来年はもっといろんな所へ一緒に行こう。
三橋の手を握り、俺のポケットの中に入れる。照れたようにうひっと笑う三橋の吐く息が白く流れる。
初詣の願い事は三橋とずっと一緒にいられますように。お賽銭もいつもより奮発するつもりだ。

そんな年末を迎えたい。