>>882 全員が図書室の入り口に集まった。
図書室の窓にはカーテンが掛かっている。本を焼けから守る為のカーテンで、黒っぽく厚めのものだ。
授業中は開放されているが、帰る時には図書委員や教師の手によって閉められている。
それが小さく震えているのに栄口が気付いた。
締め切りの部屋のカーテンが揺れるだろうか?
栄口は顔を近づけて、窓の向こうに有るカーテンを凝視した。
他の部員はその行動の意味が判らないから、栄口を黙って見守っているだけ。
確信を持った栄口の上半身が窓から離れた。
指は図書室の中を指して。
「今まさに…なんか……いる…」
泣きそうな顔をゆっくりと仲間に向け、縋るように言った。
「な、なんで判るんだよ?」
そう言った花井に向かって、手を口に当てた栄口が、手招きをした。
花井が慎重に近寄って来ると、手招きした手を窓へつんつんと指さした。
カーテンが小さく、本当に小さくだが、揺れているのが花井にも判った。
2人はごくりと唾を飲み込んで顔を見合わせた。
そして同時に思っただろう。
──田島が危ない!
今日は終わり。もう少し続く