童話を投下
俺の名前はキャプテン花井。正確にはキャプテン(名前)・花井(姓)なんだが、俺は自分の名前が嫌いだった。
俺は森の中の小さな小屋できれいな石を集める仕事をしている。森の中には木こりとか石を買いにくる行商人とか結構人間がいたが、俺はそいつらに自分を花井と呼ばせた。
俺には一人助手がいる。三橋。三橋で全部の名前らしいから、俺は三橋と呼んでいる。
三橋は何年か前きれいな石探しのプロになりたくて俺の家に来たが、なにしろドジで、仕事のため森を歩くだけでも三橋がいると大変だった。
「花井くん、これっ。花井くんの、頭みたいな、石 みつけた、よっ」
池の近くに転がっていた石を広い、三橋が俺に見せ付けてくる。確かに俺の頭みたいにツルツルだったが、はっきり言ってただの石だ。売り物にはならない。
「ダメだよ、そんなんじゃ。もっといいの探して来い」
俺が言うと、三橋は素直に頭を二三度縦に振って、またさっきまで這いつくばっていた池のほとりまで小走りで駆けていく。
そのときだった。
「うおっ」
三橋の悲鳴(?)が聞こえたかと思うと、続いてバシャンと大きく水が跳ねる音が響いた。
俺が振り返った先には、水面が大きく揺れる池だけしかなく、三橋の姿がみつからない。推測するに三橋は足を滑らせて池に落ちたんだ。
「三橋!」
俺は慌てて三橋を助けに飛び込もうと靴を脱いだ。しかしいざ池のほとりに立った瞬間、どういう訳か池がキラキラと光りだしたのだ。