528 :
夕立:
めずらしくこんな時間にこんばんわ
前の部分を見失ったのでwikiでよろしくなの
※鬱注意 暴力的な表現注意
不穏な流れになってるけれど最終的には落ち着くのでなまぬるく見守ってくれたらうれしいなと
<阿部視点>
とっくに分かっていた。この道の辿り着く先が、楽園ではないということ。
はじめから分かっていた。この歩みの先には、破滅しかないということ。
三橋の体は、確実に弱って、ガタがきていた。そりゃそうだ。あの男とオレに日替わりで続けざまに体内を犯されているのだ。弱らない方がおかしい。
練習にも実が入っていないのは火を見るより明らかで、泉にそれとなく探りを入れてみたが、授業中はほとんど寝ていると言っていた。
体だけじゃない、心だって、とっくに限界にきているはずだ。それでも必死に普通のフリをする三橋の姿は、健気を通り越してむごたらしく見えた。
壊れていく三橋の隣に立って、破滅への道をともに歩く。時にはその背を押して、時にはその手を引いて。
これがオレの求めた世界なんだろうか。
どこで道を間違えてしまったのだろう。オレはどこへ行きたかったんだろう。
何かが違ったはずだ。こんな状況を望んだわけではなかったはずだ。
オレは三橋を壊したいんじゃない。オレは三橋を救いたかったんだ。
欲望を吐き出すだけの不毛な逢瀬を続けながら、オレはひとつの賭けをしていた。
もし三橋が、「助けてくれ」と泣いてすがりついてきたなら。
その時は、全てをなげうってでも、三橋を救ってやろうと。そして三橋の足もとにひれ伏して、オレの犯した全ての過ちに対して許しを乞うと。
たとえ許されなくてもいい。それでも一生をかけてでも償おうと思った。
けれど、オレは賭けに負け続けた。いや、勝ち続けたのか。
どちらが勝ちで、どちらが負けなのか、賭けをしたオレ自身にもよく分らなかった。
しかし、どちらにしても、三橋の口から「助けて」という言葉は、いくら待っても出てこないというのが確かな事実。
三橋がオレに向けて、心からその腕を伸ばしてきたなら、その手をしっかりと掴んで、絶対に離さず、ただゆっくりと怠慢に続く破滅への道から、一緒に逃げだしてやりたい。そう思っていた。
けれどそんな日は、いつまでも訪れず、ただただ三橋が壊れていくのを見ているだけの日々が続いた。
いや、違う。オレは見ているだけの傍観者じゃない。積極的に三橋が壊れるようにとその背を押している加害者なのだ。