http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1196530869/386,574,608 昼時を過ぎると忙しさのピークは急速に遠のき、まかないチームも食事を取ることになった。
そのまま調理場で飯にしても良かったんだが、せっかくなのでおれは着ぐるみ喫茶で食べることにするぜ!と焼きそばを手にして旅立った。
道すがら、めばえちゃんの教室をのぞいてみたが鉄っちゃんの作品展示状と貸したそこには、プラレールがガタガタと走るばかりで彼女の姿はなかった。
軽音部のライブはほとんど、まるまる一日を費やすって話だから舞台で友だちの演奏を見ているのかもしれない。
こっちキャベツの分断にかかりっきりで、メールの返事とかなかなか出来なかったしなぁ、と思っていたら
展示のコンパニオンを務めていた鉄娘がおれの顔を見知っていたらしく、あーセンパイ、これ、めばえちゃんからです〜、とチラシをよこしてきた。
コピーチラシの内容は本日の舞台発表のスケジュールで、手書きのアルファベットとカタカナと画数の多い漢字がぎゅうぎゅうに敷き詰められていて、
まずどこを始点にして読めばいいのかに悩む、という代物だったが、
赤いボールペンで横一文字に取り消しの二重線が引かれているところが、ズバリ開演時間であるようだった。
それだけ判断できれば十分十分。
裏面にかかれたイラスト混じりのめばえちゃんからのメッセージを微笑ましく読みながら茶店会場へと向かう。
引き戸が二枚とも取り外された入り口をくぐると、案の定そこは閑散としていた。
関係者以外の人間はこそこそと声を低くして話し合っている女の子の二人組と、多分ラグビー部の知り合いらしき他校生三人。
「おつかれー」
衣服以外はいつものまんまで机に座ってダベっている花井たちに声をかけると、おーと返事が返ってきた。
「ヒマだよ、ヒマヒマヒマヒマだクマー」
クマプー泉はいつになくダラけている。
「あんまりヒマすぎて、さっきサキタマのやつらに呼び出し掛けたんだけどさ、なかなか来ねーのなあいつら」
「招集かけれるくらいヒマ人ばっかなのかよ、サキタマ」
「いや大地が今、田島とかと校内まわって遊んでるらしいんだけど、顔出してこねぇんだよ。何やってんだ奴らは」
「他のガッコの奴らとか来てた?」
あんまり見られたくねぇよな、こなくていーよ……、と無気力に呟く泉の憂鬱はそれが原因なのだろうか。
開いた机に腰掛けつつ紙コップから割り箸を引き出してパキリと割ると、中村がウーロン茶を紙コップに注いで持ってきてくれた。サンキュー・アリス!!
「あれ、池田とかは?」
「呼び込み行かせた」
「午後用にケーキとかのメニューも用意しておけばよかったかもしれませんね」
中村の装束からクィーン・アリス的な?と姉の料理ブックの題名を連想してしまうおれ。
「三橋も?あれ、そういや阿部ってもう来てる?」
「阿部の当番は明日だろ、今日は顔出さないかもな。三橋はさっき実験室の方に様子見に行ったぞ、多分沖とはすれ違ったんじゃねーの」
ちなみに巣山はツーリングの予定を優先させたらしいとの浜田経由での中村の情報。