※ピョア注意。エロなし注意。 とりあえずここまで。多分また後で来る。
>>152 「手紙…?」
もう一度封筒をよく見ると、中に折りたたまれたルーズリーフが入っていた。
『廉君に学校を辞めさせないでください。』
田島君の書きなぐったような元気な字とは違う。もっと整っていて少し機械的にも見える筆跡。
見覚えがある…いや、よく知っている字だ。
貸してもらった数学のノート、野球部の活動日誌、データ表に書き込まれた補足事項、
文字と一緒に思い出がフラッシュバックして、込み上げてくる想いが胸を締め付ける。
「廉、どうしたの?」
(…あ)
気がつけば零れた涙で文字が滲んでいた。
「ねぇ、やっぱり心当たりがあるんじゃない?」
「ごめん、お母さん…オ、オレ、返して くる ね」
「え、ええ、お願いね。気をつけて」
「…ありがとう」
オレは走った。
冬の冷気が肌を刺し、白い息と熱い涙で前が見えなくなっても、
ただひたすらに夜の街を駆け抜けた。
根拠なんてなかったけど、
もしかしたら今もまだあの場所にいるんじゃないかって、
なんとなくだけどそんな気がして、立ち止まってなんかいられなかった。