俺「三橋と俺のハートフルストーリーが今始まる…」

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865CRAZY FOR YOU
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「なぁ、クリスマスパーティーしねぇ?」
部活が終わった後、田島君がみんなを集めてこう言った。
「高校生にもなって男ばっかでクリスマスなんか嫌だよ。彼女居る奴だっているかもしんねぇし…」
「えっ!?なになに花井、お前彼女いんの!?」
「おっ俺のこととは言ってねぇだろ!」
「うっわ否定しねぇ!あっやしーの!」
「ちゃかすなって!」
「でもさぁ、三橋にとってここで過ごす最後のクリスマスになるかもしんねぇじゃん?
 だからたまにはみんなでぱーっとやるのも悪くないんじゃね?…な?な?」
「…それはまぁ、そうかもしんねぇけど」
「あっ、なぁ阿部はどお?クリス…」
「無理」
「即答かよ!なんだよみんな女女って冷てぇなぁ。せっかく三橋がバイト休みだってのに」
「あっ…あ、あの、田島 君…」
「ん?何だ三橋」
「オ、オ、オレ、その日、病院…行かない と」
ずっと言いたかったことをやっと言えて、オレはホッとした。
田島君の気持ちはもちろん嬉しい。でも、そこまでされてしまうと逆に畏まってしまうよ。
特別なことなんかなくても、オレは今のままがすごく幸せで、充分過ぎるくらい満足なんだ。
「ガーン!マジかよ?じゃぁクリスマスに暇なのって俺だけ!?」
「ん、まぁ頑張れ」
「泉ぃ!お前のデートに俺も連れてけ!!」
「はぁっ!?嫌だよ!つーか俺はデートじゃねぇ!家族サービスだっ!!」
「なんでもいいから連れてけ!!」
「お断りだっつーの!!」
しつこく食い下がる田島君に本気で嫌がる泉君、たまたま近くにいたせいで巻き添えになる水谷君、
何がつぼに入ったのか笑い転げる西広君、本気で仲裁しようと割って入る巣山君、
爽やかに笑いながら囃し立てる栄口君、はらはらしながら見守っている花井君、
みんなの注意が逸れているうちにこっそりと誰かにメールを打つ沖君。
いつも通りの賑やかな風景。オレの、大切な仲間たち。
宝物を宝石箱にしまうように、オレはこの温かな時間を胸に焼きつけた。