俺「腹減った!飯!」

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321fusianasan
>>300

嘘だろ。これは何かの間違いだろ。こんな状況でふざけているわけじゃないよな、三橋。

「オレ、の名前は 三橋廉、三星中学の二年、です」
たどたどしく、だがはっきりと告げる三橋の言葉にオレも、モモカンも、水谷も、ただ呆然とするばかりだった。
「なんで、オレ、病院にいるんですか? あなたたちは、一体…?」
今にも泣き出しそうな三橋の目は真剣で、とても嘘や冗談を言っているようには見えない。でも、何で? 頭を打ったか何だか知らねえけど、いきなり記憶を失うって、そんなのありかよ。
「三橋」
声をかけると、三橋が驚いたようにこっちを見た。何も言葉を発さなくても、その顔に何で?と書いてある。何で、オレが自分の名前を知っているのだと。
そりゃそうだ。今の三橋は中学二年の、三星時代の三橋だから。知らない人間が自分の名前を知ってたら、そりゃ変だよな。
…ということは、三橋と出会ってから今までのこと、三橋の中から消えたってことかよ。
西浦に来てからのこと全て、三橋の中では存在しないのか。オレのことも。

「とにかく、三橋君のご両親、今自宅にいないらしいのよ。ご親戚が入院してるらしくて、そっちに行ってて手が放せないんだって。日曜日には戻って来れるらしいんだけど」
「今日が木曜だから…三日後か。どうするんですか、その間」
「こんな状態の三橋君を一人にするわけにもいかないし…困ったわね」
「あ、オレん家、聞いてみましょうかー? たぶん親、大丈夫だと思うし」
「オレも。事情を話せば、たぶん三日くらいなら…」
「そうねえ…気持ちはありがたいけど、ここはやっぱり志賀先生にお願いしたほうがいいかしら」
そう言ってモモカンが携帯電話を取り出したその時、それまでずっと黙って聞いていた三橋がいきなり口を開いた。
「あっ、あの」
ひっくり返ったような声でいきなり喋りだしたから、オレ達三人はぎょっとして三橋の方を振り返った。そしてもっと驚いたことに、三橋は急にオレのシャツの袖を掴んで言った。
「お、オレ、この人と、一緒にいちゃ、いけない ですか…?」
「はあ!?」
驚きのあまり、オレは思わず大声を上げた。三橋がビクッと身体を震わせる。だが、掴んだ袖は放さない。目をそらしたまま、だけど震える手で、しっかりオレにしがみついたまま離れようとはしなかった。
何で? お前、オレのこと怖いんじゃなかったの。今でも目を合わせられないほど震えてるし。それに今のオレはお前にとって、見知らぬ他人だろ。何で、オレなんだよ。


>>311 気にしないでくれ。
タイトル思いついた。「3days」 おやす三橋。