パヤオ話から妄想
※子三橋には優しくしたい俺向けのあれ
本屋へ行こうと家を出るついでに三橋の家の前を通った。
もくもくと白い煙が上がっている。
火事だったらまずいよなあ、と庭を除くと三橋が棒っ切れを振り回しながら灯油缶の前で踊っていた。
踊っていたといっても、なにか歌を歌いながらゆらゆら体を揺らしてる程度だったが。
耳を澄ますとかすかに歌詞が聞き取れる。
「ちきゅうーはまーわーるー きみおーかくーしーてー」
ラピュタか。懐かしいな。
不安定な声帯から漏れる声が透明な空に吸い込まれていく。
わからないところはふふふーんとごまかしながらあのテーマソングを歌いきった。
黒いイヤーマフで周りの音が聞こえにくいのか、自分の世界に入りきってぺこりと見えない観衆にお辞儀する。
俺は小さく拍手を送ると本屋への道を急いだ。
おわり。