http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1195743362/210,356,535,773,836 「浮いてる みたい、だ」丸出しの背をトイレの床につけながら、ぽつりと三橋は言った。
「立ってるより、 んか、現実感が ない。背中ひんやりしてて気持ちがいい」
「おれはセックスするときは暑いくらいがいいけど」
「天井」おれの背中越しに天を見上げながら三橋は呟いた。「床より、ずっと汚い。はじ めて、見た。何回も阿部君と、来てたのに」
なんとなくおれも頭上を振り仰ぐ。三橋の言うとおり、手入れの行き届いて便所のくせに清潔感の漂う黒檀の床とは違い、天井のモルタルは茶黒く煤けていた。砂埃や隠れタバコの痕跡がくっきりと残っている。
「天井のシミの数を数えてろって、ありがちな話があったな」
ふと陳腐な話を思い出して振ってみたら、ぅえ?と三橋が疑問符を吐いた。
「シミって、染み?」
「だから嫁入りした女に初夜の時……あー、いいよもう。気にすんな」
すぐに済むからなんて言葉でだまくらかすんじゃなく、数えている暇なんてないくらいに体を気持ちよくさせなくちゃ意味がねぇ。三橋にはじっくり教える。おれもじっくり覚えて、絶対に失敗とかがないように気をつけないといけない、本当は。
「んなことは別にどうでもいいんだよ。それよか三橋はここが弱いってことの方がよっぽど大事」
蟻の戸渡りにあてがっていたチンコを動かすと、三橋は小さく喉を鳴らす。
「三橋はここがイイんだな」「いーです……」
声は小さかったのに口の端に泡が浮いて、三橋はそれを手の甲で拭った。そのまま手を唇の上に乗せる形で腕が停止する。
「あんな声出ちゃうくらい気持ちいいのか?」
「うん、気持ちイくて、たまんない」手の下からもごもごと返事が戻ってくる。
むけた皮の上から露出している亀頭だけで三橋を味わうと、より敏感になった部分が感触を鮮明に伝える。
ここは単なる足の間の肌なんだと思う。けれど三橋のすね毛と同じくらいに薄い、産毛のような陰毛や、骨の間に窪んだ皮の描くカーブはおれの丸みに心地よくより沿って、こうやって軽く表面をなぞるだけでも気持ちいいのに、その上三橋が。
「三橋、ここ、もっと強く触ればいいのか?さっきみたく?」
違う、と三橋は勢いよく首を振った。
「やっぱちんこか」その様子がおかしくて笑いながらたずねたら、それも「違う」と答える。
「ちが て、阿部君のいいとこ、触って欲しい」「だから!どこだよそれは?言えっつってんだろ!」
肩に掛けた足を引き寄せて、チンコを股に打ち付けた。ひぅっと三橋の体が反応する。
「ここがいいんだったらここに触れって言えよ!大体、なんなんだよ股が気持ちよすぎるとかあり得ねぇ、媚び売ってんじゃねぇって!嘘ついてんじゃ」
「ぅううぅ、ウソじゃないいぃぃ」
珍しく三橋がおれの言うことに介入してきた。目を片手で覆いながら首を振っている。
「阿部君のが、硬くて、でっかくて、つついてきて、気持ちいいのホントだっ。ケド、やっぱり、阿部君が気持ちいいとこが本当で、オレは」
「本当ってなんだよ。二人とも気持ちよくなきゃ、つまんねーじゃん」
「オレは、阿部君に触られるだけで、勝手に気持ちよくなっちゃうから、なんでもいいんだ」
常々思っていたが、こいつは人の苦労を全く理解していない。