阿部「三橋!ハブ対マンコグースの対決だ!!」

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88fusianasan
改変

野球部だったからきっと腹減るんだろ、俺の隣の席のそいつは
いつもは薄っぺらい体に反して、普通にボリュームのある弁当を食べてた。
まあ、いつもビクビクしてるような奴だったから、可愛いお弁当箱なんか、
そもそも似合わなかっただろうけど。

でも、お袋さんが体調を崩して入院して以来、そいつの弁当は
サンドイッチとか、そういうお手軽メニューになった。
自分じゃ料理はできなかったみたいで。

あれじゃ物足りないだろうな、なんていう俺の予想は大当たりで、
ある日の午後、隣の席からきゅるるーとか腹の鳴る音がしたから
横を見たら、ものすごい恥ずかしそうな顔したそいつと目が合って、
それがあまりにも可愛くて、俺は思わず言っちゃったんだ、
”弁当、俺が作ってやろうか?”って。

大した事じゃなかったんだ。
俺と妹の分と合わせて二つ、毎朝弁当作るのが家での俺の
当番だったから、もう一つ増えようが別に大した手間じゃない。

赤い顔したままぶんぶん首振って遠慮するそいつに、その辺の
事情を説明して、納得させて、それで翌日から弁当一緒に
食べるようになった。今から思えば、それが付き合ったきっかけ。

何かのはずみで当時の話題がでると、”スポーツやってたから
お腹減るのはしょうがないのであって、別におーぐらいだったわけ じゃない”とか
”弁当に釣られただけであって、別に俺のことなんか何とも思ってなかった”とか、
今でもムキになって言い訳するから、
俺も取り敢えずそういうことにしておくって言って、笑ってやるんだ。