【前回までのあらすじ】あー鳥臭え… ※しばらくエロス無し
自転車で みはしを後ろに乗せた帰り道。ようやく聞きだせたのは、
『天気良くない と、夜、人間ならない みたい。』という事。
呪文かと言いたくなる稚拙な説明はつまりこうだ。
月の出ている夜しか人の姿でいられない と、そういうことだろう。
もはやミラクルすぎて、狼人間かよ…とツッコミを入れる気にもならない。
もう一つは、
『まだ飛べない とき、ヒトに落ちたの拾わ…れ、たコトあって 言葉わかる。』
言葉足らずで要領を得ない みはしの言葉に、阿部の眉根にしわが寄る。
ペダルを漕ぎながら、詳しく聞こうとすればする程みはしは焦って意味不明に唸るだけ。
何か少しでも手掛かりを掴もうと、「今まで どこに住んでたのか」「どこで どんな奴に
拾われたか」「どうして自分の前に現れたんだ」と問いつめても、
『・・・・・う、うぅ… ゴメンナサイ』と声を震わせ謝るだけだった。
子供…ではなく雛の頃の記憶など、鳥だけに3歩あるいたら忘れるのは仕方ないとしても
どうして一昨日までの住処すら覚えていないのだろう。
(やっぱ、今晩も家に泊めないと…だよなぁ。)