三橋「阿部君やめて!た、田島くん助けて…っ」

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899影法師
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三橋を送っていった帰り道、俺はどうして乗り気になれなかったのかを考えていた。
あいつを家に呼びたかったのは本当。
男としてどうかとは思うが、三橋に欲情しないわけでもない。
飽きるほど…はしていない。
1つ言えるのは、体を重ねればそこに必ず何らかの感情が生じるということだ。
普段は見せない自分や相手の隠された部分を知ってしまったら、もうお互い元の関係
には戻れない。
俺には何も考えずに三橋とセックスするなんてことは無理だ。
俺たちは、バッテリーとしても最初からいびつなままできてしまった。
さらに今みたいななんだか曖昧な関係にまでなってしまうと、正直俺の対人スキルで
対処できるのか心許ない。
(俺は三橋を壊してしまうんじゃないか?)
不安ばかりが増殖していく。

テストが終わり、部活が再開された。
来週、近隣の高校との練習試合があるので自然と力が入る。
未だ部員はたった10人の西浦だが、夏大でいい経験をしたお陰もあってかなり実力
はついたと思う。
本当はもっと人数がいた方がいいんだけど、来年にならないと新入部員は入ってこな
いのだろうか。
「阿部君、三橋君の調子はどう?」
相手高のデータを解析するからという名目で監督に呼ばれたけど、どうやらそれは口
実だったらしい。
監督も当然三橋のことは気にしている。
確証はないけど、校長か志賀先生あたりから一応のことは聞いているんじゃないだろ
うか。