三橋「阿部君やめて!た、田島くん助けて…っ」

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435fusianasan
ストーカー三橋


「やべーッ、明日小テストあんのに、ノート忘れてきちまった」
人の出払った学校ってのは、妙に寒々しい感じがするな。
そんなことを思いながら、放課後の夕陽の射しこむ校舎を、俺は足早に歩く。
教室に入ろうとしたところで、ふと違和感を覚えて中を覗き込むと、人影が見えた。
誰だ? 俺の他にも忘れ物したやついるのか?
さらに目を凝らすと、視線の奥で、薄赤い夕陽を反射して茶色の髪が揺れた。
えええ!? ままままま、まさか、三橋か!?
てか、あいつの居る場所って、俺の席じゃん!!!!! おいおい、何やってんだよひとの席で!!!
俺は教室に入れず、入口の所で茫然と立ち尽くした。
三橋は俺の席でなにやらごそごそやっている。
おいおいおい、ちょっと待ってくださいよーーー???
もしかして角オナニーとかしてるんじゃねええだろおなあああ!!?? だとしたら最悪だっつの!!!!
しばらく様子を見てると、三橋の行動はどうやら角オナニーでないご様子。ほっと一息だ。
しかし怪しすぎる。何やってんだあいつ??
俺が見ていることに一向に気づく気配の無い三橋は、俺の席で、何かやり遂げたかのように肩で、ふーっと息を吐いていた。
そして、てててててーっと教室の出口であるこちらへ駆けてきた。
やべ、見つかる。
俺は慌てて隣のクラスへ逃げ込んだ。
ありがたいことにその教室にも誰もいなかったから、俺はそこで三橋が去って行くのをじっと待った。