阿部「三橋!アテンションプリーズ!」

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672fusianasan
縦読み祭りだと思って書いていたら出遅れた
苦しい縦のうえ、エロ無しで申し訳ない

とっぷり日が暮れて今日の練習が終わった。
「廉!」叶君から声を掛けられた。オレはびっくりして身を竦ませる。
近づいてくる気配を感じたけど顔を上げられない。
恐い んだと思う多分。叶君に嫌われ、軽蔑されるのが。
俺がマウンドを譲らずに才能ある叶君がベンチに居るなんて本当ならおかしいんだ。
特別扱いされてる事にあぐらをかいて叶君より実力の無いオレが三星のエースだなんて。
きっと叶君もこんな俺に愛想が尽きて何か言いに来たんだろう な。嫌われたくないけど仕方ないよね。
多分叶君は怒ってる。ちゃんと今日こそは謝らなくちゃ。けど叶君は思いがけない事を言った。
「三橋の投球、今日も調子良かったな!」叶君の声はどこか明るかった。…怒ってないの?
畠君や皆が叶君に1番を譲れって言うのに。何で叶君は俺を誉めて くれるんだ?
修ちゃん、ってつい口から出そうになって慌ててひっこめる。
「か、叶君 ごめん。ごめんね。」涙が後から後から零れて止められない。
我侭でマウンドが譲れない自分自身に腹が立って仕方無い。叶君は駄目なオレにも優しいのに…。
いつも事実から目を逸らしてきたけど、もう駄目だ。これ以上ここに居たらいけない。野球を やめよう。
意を決して告げる。「オ、オレ三星の高等部には進まない から。」顔を上げると叶君は驚いた顔をしていた。