「外 は さ、寒い・・・ね」
「随分寒くなってきたな。早いとこうちに帰んぞ。ちゃきちゃき歩けや」
「う んっ・・・」
銭湯入ったばっかなのに、こう冷えると湯冷めしちまいそうだぜ。
「あ・・・」
「あ?」
何かを見つけたようにパタっと立ち止まった。
「何だよ」
「焼き いも 屋さん・・・」
「あん?」
視線の先には石焼芋屋が止まって芋を売っている。
「食いてぇのか?」
「う・・・うう ん・・・ いい・・・」
ヨダレ垂らしながら何言ってんだこいつは。
いつもならいらねぇと思うが焼き芋屋はすげぇ旨そうな匂いを漂わせてやがる。
「おめぇいらねーなら俺は食うぜ」
「えっ・・・うっ・・・」
芋屋に近づこうとすると俺の服の裾を女々しく摘んでくる。
「あ?」
「あっ・・・の・・・」
俯きながら裾を掴んでいるが物欲しそうな声がうぜぇ。