ストーカー三橋
小鳥のさえずりがやたらと軽やかに聞える爽やかな秋晴れ。
うーんと伸びをしながら俺は学校への道のりを歩いていた。
朝は清々しいぜ。ひっついてくる三橋もいないしな。
鼻歌まじりに道を歩いていると、前方からこちらに突進してくる影がッ!!!
おい!あの、てててててー走りは!! まさか三橋!?
えええッッ朝からかよおおお!?
「ち、ちこくー、遅刻、だー」
三橋は寝ぐせのついた髪の毛を撫でながら、食パンを口にくわえてこちらに向かって走ってくる。
うわっ! すごくわざとらしいいいいいっ!!
三橋の走る速度は変わらず、そのままの勢いで俺に突進してきた。
トカチン!
そんな漫画的書き文字を入れて衝突する俺と三橋。
「ぐえぇぇ」
ぶつかった拍子に三橋の肘鉄がちょうどみぞおちに食い込んで、俺はのたうちまわりながら後ろに転げた。
一方、三橋はいい感じにぽてんと後ろに転げて、尻もちをついていた。
「いたたた」
自分でぶつかってきたくせになんだよそのリアクション!!
つーか俺のが、痛い度高いつーの!!!
悶えている俺をちろっと見て、三橋はきょとんとしていた。
そして、あッ、と何か思いついたように、目を見開いた。
「あの、ちょっと待ってて、ね…」
そう言って、三橋は自分の鞄からごそごそとノートを取り出し、ぺらららーとめくった。
「えーっと、あったあった。んーと、……痛いなあ、どこ見て歩いてんだ、よ!」
うわー思いっきり台本読んでる。すごい棒読みだし。何これえええええ??? どんな演出!!??