阿部「三橋!アテンションプリーズ!」

このエントリーをはてなブックマークに追加
252CRAZY FOR YOU
※ここまで
>>245
俺は内心舌打ちした。三橋は一度言い出したら聞かない。説得するのは時間の無駄だ。
「オ、オレは、お金の代わりに、渡せるもの…ない だから」
そういって三橋は自分の右手を俺の股間へ伸ばす。
「やっ!やめろっ!」
俺は慌てて振りはらって距離をとった。このまま流されたら元も子もねェ。
「そ、そういうのはいい。もう、いいんだ…」
「…そ、う。じゃぁ」
しょぼんとして万札を返そうとする三橋を片手で押しとどめ、俺は続けた。
「ならさ、キ、キス…で、いい。さっきの奴に、してたみたいに」
我ながら何を言い出すのかと思ったが、三橋に金を受け取らせるためにはこれしかないと思った。
キスくらいなら、何とも思わない。口がくっつくだけだ。
「ヘ、ヘン、なの。男と…キス、したい、なんて」
「なっなんだよ、さっきはしてたじゃねェか!」
「あの人、は、ホ、ホモセクシャル?っていうの…だから、阿部君、は、違う でしょ?」
「そりゃ違うけど…」
「き、気持ち悪く…ない の?お、男と なんて」
「気持ち悪ぃよ…そりゃあな。でも、それはお前だって同じだろ?」
「オ、オレ?」
「俺とすんのも、アイツとすんのも、気持ち悪いはずだ。
 でも、お前は文句も言わずに我慢してる…だから、俺も我慢したいんだ。
 っつーか、そんなのいいからとっととしようぜ!…お前にはどうせ分んねェよ」
一瞬、三橋の鼻頭が赤くなったような気がしたが、多分気のせいだ。
「わ、わかった。じゃぁ、椅子 座って…」
俺は言われるままに適当な椅子に腰かけると、三橋がその上に跨った。
向き合うような形で俺たちはしばし見つめ合う。
(やべェ、無茶苦茶恥ずかしいぞこれ…)
思わず目を逸らそうとすると、三橋は俺の頬を両手で挟んで正面を向かせる。
そしてそのまま、熱い舌先が俺の口の中に侵入してきた。