阿部高和「三橋、やらないか」

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641ワキガ三橋
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意外な事実に頭がクラッとした。
もし、それが本当だってんなら、俺は結構傷口をえぐるような事言っちまったような。
人間には出せない匂いとか言っちまったし。
「ま、まあ、そんなくさくなかったし、あんま気にすんなよ・・。」
とりあえずそれしか言えなかったが、これじゃフォローにもなっていない気がする。
三橋は俯いて、ゴメンと言っていた。

でもまあ、三橋がワキガだろうがなんだろうが、別に野球にはなんの関係もねーし、
俺はこれからも変わらない態度をとる。
今日まで気づかなかったんだ。
きっと清潔に保ってスプレーかければそんな気にならないもんなんだろう。

だが、その考えは甘かった。
一度認識してしまうと、ちょっとの事でもすごく気になるようになってしまうものだ。
三橋は反省してスプレーをちゃんとかけてきたのか、それ以来、あそこまでの強烈な匂いはないが、
汗の匂いに混じってあの匂いを発見してしまうと、もうダメだった。
汗の匂いは、くさいと思いながらもつい嗅ぎたくなることもあるが、この匂いはダメだ。
なんというか、どうしても受け付けない匂いだ。

俺はその日以降、三橋がくさくてしょうがなくて、
毎日吐き気と戦いながら着替えをするようになった。