阿部「三橋、俺と突き合ってくれ!」

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193三橋は行方不明

俺は三橋はいなくなったことに言うまでも無く衝撃を受けた。
半身を失ったかのような虚無感。
夜眠る前は特にそれがひどい。次の日、また三橋のいない日を迎えるのが怖かった。
打ち解けていたとは思わない。
とんでもなく意思疎通のできていないバッテリーだったかもしれない。
俺はでもアイツと同じものを見てる時間がすごく大切だった。
やっぱりダメだって思うことがあっても、その時間の存在が関係を繋いでいた。
数日経った頃から俺はある夢を見るようになった。
三橋がいる、夢。挨拶するだけの、ささやかな夢を。
はじめ三橋が戻ってきたんだと思った。
本当に夢の中の俺は何も疑問を抱かなかった。
もう今では「あれ」は違うとわかっているのに、それでも夢の中では嬉しくなってしまう。
濃い色の、どこかの部屋にいるアイツに久しぶりに挨拶をする。
だけどすぐに場面が切り替わって、今度は別れを告げる、そんな不思議な夢。
痛いくらいわかったのは、俺には三橋が夢に見るほど必要だってこと。
ただ最近あまりにもあの夢がリアルで、現実と区別がつかないことがある。単なる夢、のはずなのに…。