「お、オレは男、だよ」
「知ってる。」
阿部君の目は本気だった。
カバンから取り出されたのは白いブラウスとチェックのスカートとリボン、
それからレースのついた白い女の子もののランジェリーと、揃いのブラジャー。
紺のハイソックスまである。
「着てくれねえかな?」
「え、う・・でも、なん で?」
男のオレがこんな女子高生みたいな格好しても、気持ち悪いだけでちっともいいと思えないんだけど、
阿部君は真剣だ。
一体どうしたんだろう、急に。
「彼女が出来たんだ。でも俺童貞だし、どうしたらいいかわかんねーよ。」
阿部君は本当に途方に暮れた顔をしている。
どうしよう。困ってるんだ。
オレもどう返事したらいいか分からない。
でも、阿部君はいつもオレの勉強も見てくれてるし、
バッテリーなんだからオレも何かお返しするべきなのかな、って最近思ってるんだ。
「お オレが出来ることなら、するよ」
「マジでいいのか?・・・・ありがとな。じゃあ、頼むよ。これ着て。ここ座って。」