>>613 すぐに返事が返ってきたが、それは俺が期待したものとは違っていた。
[件名]件名なし
[本文]
とにかく警察の人は
はやく帰して
かえさないと、
たいへんなことになる
(クソ…やっぱ俺の気のせいか)
焦る気持ちを抑えながら、俺はおじさんとおばさんに言った。
「ダメです。連絡とれません。犯人を刺激しないためにも、
警察の人には帰ってもらった方がよくないですか?」
「ああ、そうだ。そうしよう」
おじさんはゆっくり立ち上がって中年の男のところへ行った。
多分あの男がボスなのだろう。
「それじゃ、一度我々は引き上げますが、何かあったら連絡ください。
間違っても勝手に単独で動かないように」
そう言い残して、男たちは部屋から出て行った。
「阿部君も、親御さん心配するから帰りなさい」
「…はい」
これ以上ここにいてもすることがないので俺も帰ることにした。
おじさんとおばさんの様子が心配だったが、帰り際に無理をして手を振ってくれたのを見て、
下手な心配は余計な気疲れをさせてしまうと思い直した。
真っ暗な帰り道で、三橋から貰ったメールを読みなおす。
(…?)
おばさんの携帯に届いたメールを思い出して、違和感は確信へと変わった。
『とやさん』って、何だ?