ニコイチでおめでたさを表現。
俺は猫。名前は俺君。名付け親は…忘れた事にする。
廉はいつも朝早くに出て行くけど、時々昼過ぎまで寝ている日がある。
そんな日のことを”ニチヨウビ”と言うらしい。人間が猫みたいに寝る日かな?
どうやら今日がそのニチヨウビらしい。
そんなときは廉が起きるまで一緒に寝るのを付き合ってやってる。
ちょっぴり目がとろけそうになったりもするけど、廉と一緒にいられるのがうれしいんだ。
今日も廉と一緒に昼寝を決め込んでいたら、玄関のほうからけたたましい声が聞こえてきた。
「尚ちゃん、ちょっと聞いてくれるー? お義母さんったら…」
ととととと、とテンポよく階段を昇ってくる音。
「廉、あそぼー! まだ寝てるの? ねぼすけだなあ」
「え、あ。う…、稜」
あーあ、無理矢理起こされちゃった。せっかく寝てたのに。
「廉ちゃーん、ちょっと稜と遊んでやってくれるー? 朝からご免ねえー」
横着にも階下から声をかける親戚のおばさん。
何事かとベッドカバーから顔を出したら、チビに見つかっちゃった。
「あ! 猫だ!」
言うなりベッドから引きずり出された。
力加減なしでぐいぐい撫で付けられたりすぐそばで大声出されたり。
俺、こういうの苦手…。前足でチビの手を叩いたり、フーッ! って威嚇してるのにやめてくれない。
「稜、あんまり、俺君に乱暴しないで」
「この猫、俺君っていうの? ヘンなのー」
手当たり次第に引っ掻いてこの場から逃げ出したいけど、でも相手はチビだし…。
>>349 ガマンしてたらチビの行動はどんどんエスカレートしてきた。
抱き上げられてグルグル振り回されたり、尻尾を掴まれて引っ張られたり。俺はオモチャじゃない!
いっそ社会のシキタリってやつを肌に焼き付けてやろうか。
右の前足を構える。次に手ぇ出したら引っ掻いてやる。
「稜! やめて!」
普段は滅多に声を荒げない廉の大声にビックリしたのか、俺の尻尾を握っていたチビの手がちょっと緩んだ。
チャンスだ! チビの脇をすり抜け、机、窓へとジャンプを繰り返し棚の上へ避難した。
「あーあ、行っちゃった、猫」
恨めしそうに俺を見上げてる。これだけ高いところへ逃げたらきっと手出しできないだろう。
ちょっとはおとなしくなると思ったのに、凹むことなくくるっと廉の方へ向きなおした。
「廉のせいだ! 廉が大声出したから猫逃げちゃった!」
「り、稜…」
じりじりと廉に詰め寄るチビ。チビに気圧されて一歩一歩後ずさる廉。
とうとう壁際にまで追い詰められた。
「代わりの出してよ!」
「代わり、って、な に?」
「猫の代わり! こないだのやつ見せて、とくしゅへいき!」
チビは廉のズボンを一気にずり下ろした。
廉の股間には尻尾?が。でも、いつも見てる尻尾?とは様子が違う。威嚇してない感じ。
チビは俺を見上げると、見せつけるように廉の尻尾?を振り回した。
「ほら、猫じゃらしだぞー!」
>>350 見ちゃった。ぴこぴこ動くものをうっかり見ちゃった。
今降りていったらまたひどい目にあわされるかも知れない。
けど、あの子ネズミみたいな動きをされると狩りをする動物の本能が嫌でもうずく。
床へ降り、引き寄せられるように廉の足下まで来てしまった。
俺の反応を楽しむように尻尾?をぷるぷる振ったり、ぴたっと動きを止めたり。
廉の足に左前足をかけて、後ろ足で立ち上がる。
「わ、すごい! 猫って二本足で立てるんだー!」
前足を一生懸命に伸ばす。もう少しで足が尻尾?に届きそうなのに届かない。
ううー、じれったい。
「廉、猫が届かないから座って座って!」
尻尾?をちょん、とつっつく。尻尾?がプルンと揺れる。
反対側の足で尻尾?をパンチしたらぷるぷる揺れる。
楽しすぎ! なんでこの動きに弱いのかな。
チビが脇から尻尾?の付け根を持ってぶんぶん振り回し始めた。
尻尾?がくるくる回るのにあわせてパンチする。
夢中になっちゃって少しだけ爪を立てちゃった。
「あぅっ…。俺、君も、稜も、やめて よう…」
「えー、なんでー?」
「だって、そんな、いじられたら…」
だんだんパンチしたら尻尾?の手応えが出てきた。威嚇してるんだ。
「おー! おっきくなった! 武器だ武器!」
>>351 チビが尻尾?をくるくる振り回すと尻尾?の先からピンク色したものが顔を覗かせては隠れる。
動きに変化が付いたり形が変わったり。俺はすっかりオモチャに夢中になっていた。
先っぽにパンチが当たると廉は顔を左右に振る。
「俺、君…ダ メ」
それを見たチビはもっともっと尻尾?を早く回転させる。ぎゅっと目をつむる廉。
「稜…お願い、もう、やめてぇ…」
俺のパンチが尻尾?の先っぽに何度目かのクリーンヒットを放ったとき、
尻尾の先から謎の液体が勢いよく飛び出した。
「うわ、猫がそうじゅうしたらビーム出たー! やっぱ廉ってロボットだ!」
200スレ突破おめでとう。