阿部「三橋、お前は一生俺のモノ」

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285fusianasan
※ホラー注意
 深夜帯。突然鳴り出す電話のベル。男は不審がりながらも、布団から抜け出して受話器を取る。

男「もしもし」
?『も、もしもし?』
男「誰ですかあんた。つうか、今何時だと思って」
?『オ、オレ、自殺しようと思ってるんです……』
男「は?何バカなこと言ってるんすか」
?『……プツッ…………大スキな人に……裏切られたから……ジー……スキって言ってくれたのに……ど……して』

 遠くなる電話越しの声。只ならぬ気配を感じ、呼び掛けを続ける男。

男「間違いかなんだか知んねーけど、死のうとかすんな。生きてりゃ絶対いいことあるって」
?『……ホント、ほほっ、ホントに?』
男「ああ、オレが保証する」
?『でも、オレ、もう自殺しちゃったん、ですよねー』
男「は?」
?『一緒に自殺した……ピー……一緒に、でも……は生き残って……オカケニナッタデンワバンゴウ……オレだけ、死んじゃった……ツカワレテオリマセン……』
男「あ、アホらし!なんだよそれ!?じゃあお前はもう死んでるってことだろ?」

 額に脂汗を浮かべ、うろたえる男。がちがちと歯を揺らし、何かに脅えるように辺りを見回す。
 その視線の先には、埃を被った写真立てがある。

?『どう……て……裏切……譲らない……だって約束……』

 受話器を乱暴に置き、電話線を引き抜く。暫し、沈黙。
 ふと、背後に違和感を感じ振り返る。誰もいないことに安堵し、電気を消して布団に潜る。

?「ウヒッ!」

 枕元に正座する少年が画面正面に映り、暗転。