田島「三橋、次の保健体育オレとペアな!」

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940潔癖症
※神経症・虐待描写・キャラ、背景改編注意

鈴口の中から耳掻きを出す。くぴゅ、と溢れ滴る赤の入り混じった白。
「キレイになってよかったね」
それすら既に上の空。開けっぱなしの口から、だらだらと溢れる唾液。鼻孔から鼻水。
汚らしいものへの嫌悪から、顔に床拭き用のボロぞうきんをなすりつけてやった。なんというヒューマニストなオレ。
次に目を付けたのは臍だった。シャツを持ち上げ、腹部にぽちっと存在する窪みに耳掻きを沿わせる。たったそれだけのことで泣き出す。
奥へ奥へと、そして、くるりと捻る。皮膚を巻き込むように、くいくいとひっかく。ひうっ、と小さな悲鳴。
出るわ出るわ、臍から白っぽいカスがたんまりと取れた。
臍への刺激は下腹部に直撃するらしく、暫くカス取りに専念していると、ペニスがゆるゆると勃起する。
細身で小柄のくせして。毎夜毎晩弄び続けたのが原因か、性器の周囲には、独特のクセがついた毛がちゃんと生え揃っている。
「やめて、みないで」
止めろと言われると、止めたくなくなるのが人間の性というもの。
しかし、キレイにすればするほど、空になり、何故か虚しく。
そこには、虚しさを削ぎ落とすナイフなんて無くても、毛を剃り落とす剃刀くらいはあった。
シェービング用のジェルを垂らす。ぴくぴくと震えるペニスと二つの睾丸。その上にまんべんなく垂らす。ぼたぼた垂らす。
「じゃ、剃っから。動いたらチンポごと剃り落とす」
「やめっ……も、ホントに嫌なんで、す。バレちゃう、よ、おしっこ、行けなくなっちゃ……」
「行かなきゃいいじゃん。教室で漏らせば?――したら、あいつが面倒見てくれんだろ」
相変わらず、隣のベッドで暴れている田島。一瞥くれると、射抜く勢いを秘めた殺気で返された。
ちゃりちゃりと、毛が剃れる。わざとペニスに刃をひたひたとつけると、“アレ”は目の奥から涙を溢れさせた。ぼたぼた溢れさせた。
「っ、く……む……」
ジェルと毛の混ざったものが、シーツを汚していく。それを人指し指で掬い取り、用意しておいたものに付けてやる。そろそろ、腹が減った頃だろう。
「ハイ、昆布おにぎり」
ああ、なんというエコロジストなオレ。

(空間)

――なみだの数だけ泣き方があり
  、涙を流すだけが泣くことではなく。

(空間)